
原因
スポーツの外傷などを除外し、一般的に膝の痛みで一番多いのが変形性膝関節症です。
変形性膝関節症は思い当たる原因(外からの衝撃など)がないのに、徐々に膝に痛みがでたり腫れたりするような膝痛です。
一般的な原因は老化と言われていますが、ちゃんとした原因はあります。
原因は膝の捻じれ(knee in toe out)です。
膝の捻じれとは、腰を落とした時に膝の向きがつま先の向きよりも内側に向くような動きのことを言います。

正常ではつま先と膝頭の向きが揃っています。

変形性膝関節症で気をつけておきたいことは、放っておくと変形して元通りにならなくなることです。

上図は右膝を正面から見たものです。
膝の内側になる〇の部分が進行していくにつれて膝の形が変形しています。
変形の進行を止めるには、痛みの原因を解決する必要があります。

痛む場所は膝の内側です。
膝の捻じれ
①「歩く・走る」の時に母指球で地面を蹴る
② しゃがむ時に膝が内に入る
③ 階段での着地が母指球
①「歩く・走る」の時に母指球で地面を蹴る
「歩く・走る」の時の母指球で地面を蹴る動作は踵(かかと)が内側に入ります。

これを「アブダクトリー・ツイスト」と言います。
膝の向きは前を向いていますが、踵が内側に入りつま先が外を向くことで膝が捻じれます。
歩き方のところで深掘りしていますが、蹴る動作を無くすためには歩行時は踵で着地した後、小指球に体重が乗る必要があります。
走行時には小指球で着地する必要があります。
母指球がブレーキでなく転がる機能(フォアフットロッカー)になるには小指球に体重が乗る必要があるためです。
1回の膝にかかる負担は小さくてもずっと続くことで変形性膝関節症になってきます。

②しゃがむ時に膝が内に入る
しゃがむ時につま先の向きよりも膝頭の向きが内に入る動作はその動き自身が膝を捻じれさせます。

これは立っている時に両方の母指球に体重が同時に乗る人に多く、そのような体の使い方の人はしゃがんだ時に膝が内に入りやすくなります。

お勧めは常にどちらかの小指球には体重が乗っている立ち方です。

③階段での着地が母指球
膝痛がある人は階段の上り下り、特に下りる時に膝の内側に痛みを感じる人が多いです。
本来足を前に上げた時、小指側の方が親指側よりも下になります。

そのまま下におろすと小指球で着地するはずですが、変形性膝関節症の人は母指球で着地をしています。
階段での小指球の着地と歩行・走行時に小指球に体重が乗ることは体の使い方が共通していて、股関節の外旋力が有ることがポイントになります。
対策
① 股関節の柔軟性
→「母指球で地面を蹴る・しゃがむ・階段」対策
② 股関節の外旋力
→「母指球で地面を蹴る・しゃがむ・階段」対策
③ 浮き指の改善
→「しゃがむ」対策
①股関節の柔軟性
股関節の柔軟性は開脚のストレッチで改善します。
☑ 開脚のストレッチ
母指球で地面を蹴る動作は、歩行・走行時に小指球に体重が乗らないことが原因です。
股関節が外旋する動きが必要なので開脚をして外旋が可能な柔軟性を作ります。
しゃがむ時に膝が内に入る動作と階段で小指球で着地できない場合も股関節に外旋が可能な柔軟性が必要になります。
②股関節の外旋力
股関節の外旋力とは股関節を外に捻じる力のことを言います。

股関節の外旋力は下駄の足踏みで改善します。
☑ 下駄の足踏み
歩行・走行時の足が前に出た状態は、本来股関節に外旋力が働きます。
後ろ足は内旋力が働きます。
足を前に出した着地の時は外旋力なので小指球に体重が乗りやすく、体が足の着地部分を通り越してその足が体の後ろにくると内旋力が働くので母指球からの離地(地面から離れる)になります。

股関節に外旋力が働かない歩行・走行は地面を蹴る動作が発生しやすく、常に内旋力が働いて母指球中心の歩行・走行になります。
しゃがむ動作も本来股関節に外旋力が働きます。
歩行・走行時の前足の外旋力の考えと同じで、足が前に出るような股関節が曲がる(屈曲)動きでは、正常では股関節に外旋力が働きます。
股関節屈曲で股関節に内旋力が働くと膝が内に入る動作になります。
階段の上り下りも同じです。
階段の上り下りも足を前に出す動作なので、股関節に外旋力が働くことで小指球での着地になります。
母指球で着地になる動作は股関節に内旋力が働いています。
③浮き指の改善
浮き指は足指の運動で改善します。
☑ 足指のグー
浮き指は足の小指側から浮くので母指球での重心になりやすくなります。
しゃがむ動作で膝が内に入る人は小指球に体重が乗りやすいので、浮指を改善して小指球にも体重が乗るようにしていきます。