原因

腰痛は原因不明と言われている非特異的腰痛というものが85%あります。

当院では非特異的腰痛を治療・セルフケアの対象にしています。

非特異的腰痛は原因が特定されない腰痛と言われていますが、原因はあります。(「筋・筋膜性腰痛」「椎間関節症」も非特異的腰痛に含みます)

原因はお腹の力が使えていない時の腰への負担です。

本来腰の曲げ伸ばしはお腹の筋肉と背中の筋肉の共同作業ですが、お腹の力が抜けていると背中の筋肉だけで行うことになります。

その分、背中の筋肉(腰)に負担がかかり痛めやすくなります。

お腹の力が抜けやすい

お腹(体幹)の力が抜けた状態になりやすい形
 ①骨盤の後傾
 ②膝の捻じれ
 ③膝が伸びない

①骨盤の後傾

骨盤の後傾とは骨盤が後ろに傾いた状態のことを言います。

この状態ではお腹に力が入りにくく腰に負担がかかります。

骨盤を立てるには「骨盤が立つとは?」を参照ください。

骨盤が立つとは?

②膝の捻じれ

膝の捻じれとは、腰を落とそうと膝がつま先の方向より内に向いた状態(knee in toe out)を言います。

正常ではつま先と膝頭の向きが揃います。

膝が内を向いた状態の時は、母指球に体重が乗りやすくなるのでお腹の力も抜けやすくなります。

理由については「立つ」を参照ください。

「立つ」を深掘りする

そういった理由で膝の捻じれは腰痛の原因と関係してきます。

対策

① 股関節の柔軟性
  →「骨盤の後傾・膝の捻じれ・膝が伸びない」対策
② 重心を後方にもってくる(股関節の外旋力を作る)
  →「骨盤の後傾・膝の捻じれ」対策
③ 浮き指の改善
  →「骨盤の後傾・膝の捻じれ・膝が伸びない」対策

直接腰とは違う部分の対策になりますが、だからこそ見落としがちであり大切なところだと考えています。

痛みが強い場合は無理をせずに、痛みが出ない範囲で行ってもらえればと思います。

① 股関節の柔軟性

股関節の柔軟性は開脚のストレッチで改善します。

開脚のストレッチ

骨盤の後傾の場合、股関節を前に曲げる(屈曲)動きの柔軟性が必要になります。

ハムストリングスという太もも裏の筋肉を柔らかくしていきますが、そこが硬くなると骨盤が後傾します。

膝の捻じれ(knee in toe out)は股関節が外に捻じる(外旋)動きの柔軟性が必要です。

膝が内に捻じれる動き(内旋)になりやすい人は股関節の外に捻じれる動きが硬くなっています。

膝が伸びない場合、股関節の屈曲と外旋の両方の柔軟性が必要です。

股関節の内旋や骨盤の後傾で膝が伸びなくなってきます。

②重心を後方にもってくる

重心を後方にもってくるのには、踵(かかと)に体重をかける運動で改善します。

下駄の足踏み

重心の位置が「B」の場合、股関節に内旋力(内旋しようとする力)が働くので母指球に体重がかかりやすくなります。

重心を「B」から「C」にもってこれると、足の骨でいうと下図の赤の部分に体重が乗りやすくなります。

赤い部分に体重が乗ったとき、股関節に外旋力が働きます。

骨盤の後傾は股関節に外旋力が働くことでお腹に力が入り改善されます。

膝の捻じれも股関節に外旋力が働いていると、腰を落とした膝を曲げる動きの時に母指球に体重が乗りにくいので膝が内に捻じれず改善されます。

③浮き指の改善

足指が地面から浮いた状態を「浮き指」と言います。

浮き指は小指側から浮くので母指球の重心になってきます。

改善方法として足指の運動をお勧めしています。

足指のグー

骨盤の後傾は小指球に体重が乗るとお腹に力が入りやすく改善されます。

膝の捻じれも小指球に体重が乗るとしゃがもうとした時も膝が内に入らず改善されます。

膝が伸びないことも小指球に体重がかかることで元々の股関節に内旋の動きの余地ができるので改善できます。